祈りの作業

マシリトが新曲をレコーディングし始めた。

 


昨日の昼過ぎからおおよそ6時間、ヒルバレースタジオにこもり、お嬢 & ニイオカくんと"あーでもないこーでもない"を繰り返す。

 


2人には下書きの段階から付き合って貰っている。下書きというのは漫画に例えるならネームの段階、もっとわかりやすく言えば"鉛筆書きのデッサン"。消したり、書いたり、まだまだ修正に修正を重ねる。

 


祈りのような作業だ。他に相応しいワードがない。俺に力を貸してくれる人間のアドバイスには必ず耳を傾ける。昔はそんなんじゃなかった。良くも悪くも唯我独尊、身内の誰かが難色を示しても突っ走っていた。

 


最近よく考える。グループである意味、理由、必要性、主義、理想。庵野監督がドキュメンタリーで似たようなことを言っていたが、「自分の頭の中にあるモノは面白くもなんともない。そこにお金や時間、体力、精神を削ってくれる人たちがいるから世界(セカイ)に拡がる"んだ」と。今はなんとなくわかる。

 


音楽、特に現代の音源の在り方は実態を伴わない(サブスク・ストリーミングの観点からすると)場合もあるので、こんなことを書くとオカルトめいた話しに聞こえるだろうか。でも、やっぱり祈りの作業に他ならない、し、それが好きだ。

 


第一弾シングル『怪盗エレジー』で合流してくれた方、久しぶりに(インターネットの中ではあるが)出会ってくれた人たちの為にも、次はもっと驚かせたい、という素直な、正直な気持ちだけがある。

 


俺はそういう良い意味でのプレッシャーを仲間と乗りこなすのがたまらなく好きだ。気をてらうことはせずにユーモアと実体験を盛り込んで、皆さんの予想を遥かに上回った上で裏切りたい。この文章も、ほくそ笑みながら書いている。

 


先ずは自分が信頼しているチームメイトを頷かせること。当然、過信もある、トラブルや気まぐれも織り込み済み。それでもうまくいかない時は素直にメンバーに聞く。本当にそれだけで助かっている。

 


言霊はある。思想を共有して音楽にブチ込む。その都度、軌道修正をする。苦労話がしたいわけじゃない、たった一曲の為にそういう毎分毎秒を経てやがてリリースに向かって行くのだ。

 


それがたとえ3,4分で終わる曲だとしても自分の人生を生きた分、そして偶発的に(あるいは啓示的な"降りてきた"という感覚も含めて)誰かと共有したいという想い、その願いが結実する瞬間を今か今かと待ち侘びる。非常に滑稽な生き方だと思う。優しくしないで。

 

 

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