一切皆苦

墓石のように聳え立つ地上49階建の豊島区役所。区民は約28万人。俺もその一人に入る。ちょうど2年前に吉祥寺を離れてここで暮らしている。あの時はまるで発作でも起きたように、コロナ第一波の最中、猛スピードで引っ越した。初めてその明確な理由を書いてみようと思う。あの発作とはなんだったのか、

 


中学生の頃、同じ部活の先輩が圧倒的大人に見えた。たった3年間という月日の中でも人は成長痛を伴いながら進化する。願わくば、あのスピード感は今でも同じだと信じたい。だから俺にとって卒業することは必然で、吉祥寺という学舎、同級生たちとの思い出を詩に変えたい。直感に従い生きる、ということ

 


さもなければ転校だ。俺のことを誰も知らない街で、俺は暮らしていけるのか。とどのつまり、環境に最適化するためのソフトウェアを俺は体内に持っているのか。28万人が眠る街で、俺は目を覚ます。ディスカウントショップで買う日用品、ZARDの曲が流れる店内で、孤独という贅沢品を手に入れたと実感した

 


遠く離れて感じる絆、繋がり。地上49階建の墓石を見上げては、どこに居ようと俺たちというハードウェアは土の中に還る。いつか一緒に眠る日が来る。面影橋から見下ろす神田川の流れ、ただそこに"流れている"という事実。それでもこの水脈は井の頭公園という源流から始まり、この街にも通っているのだ。